シャツとソックスの日記

@shatsutosokks の日記帳です。

2022/12/05「ラ・ロシュフコー箴言集」

旅行で移動している間が暇だったので、Kindle unlimitedに入っていて前から気になっていた、ロシュフコーの箴言集(しんげんしゅう、と読むらしい)を読んでみた。

 

www.iwanami.co.jp

 

どんな本かというと、いろいろな短い文章でバンッと言い切ることで読者の心を刺すことを目的として、400年くらい前に書かれた本だ(これは↑の岩波書店公式が紹介している文章と同じことを言い方を変えて言っているにすぎない)。とはいえ、考察が80ページほどあったり、訳注も豊富なので、あんまりサクッと読める本でもない(そのへんの安っぽい自己啓発本みたく1時間で読み終わるかと思ったら、結局箴言の部分だけ読み終えるのにも2日くらいかかってしまった)。

 

まあ、結論からいうとそこまで面白くなかった。

この本には500個近くの箴言(しんげん)が入っていたが、線を引いてもいいかも、と思えるようなものはだいたい10個程度あっただろうか。500打席立って10安打なら、そのへんのおもろいツイッタラーのツイートを500個読んでいたほうがましではないかと思う。私はこの本を読んでも、ハッとさせられるような感覚になることは少なかった。その意味で面白くなかったと書いた。

 

とはいえ、心に残ったものがないわけではなかったので、特にこれは!と思ったものを何個か引用しておく。この本の伝統的な楽しみ方は、読み手がこういうふうにお気に入りのものにコメントをつけていくことのようだから。

 

8 情熱は必ず人を承服させる唯一の雄弁家である。それは自然の技巧とも言うべく、その方式はしくじることがない。それで情熱のある最も朴訥な人が、情熱のない最も雄弁な人よりもよく相手を承服させるのである。

これはそうかもしれないが、こういった情熱だけある人についていってもその先に成功はないと思う。情熱だけで問題が生じないのはせいぜい何かの値段を値切る時くらいで、たいていの時は情熱の落とし所を見つけなければならない。そういった打算が働かなければ、身を滅ぼすことになるのがオチだ(そして、ほぼ必ずそのパターンになる)。

 

386 自分が間違っているとはどうしても認めようとしない人以上にたびたび間違いを犯す人はいない。

これはまあ、400年前から現在まで一貫して通用することなので。これを言われる側の人の反応も、たぶん400年前から変わっていないだろう(間違っていて何が悪い?)。

 

488 われわれの気分が穏やかであるか荒れるかは、生涯の重大事によってよりも、むしろ毎日起きるこまごまとしたことの運びが、思わしく行くか行かないかによって左右される。

これは1番意味がわからなかった。400年前の人々の中には、生涯の重大事を常日頃から意識して気分が穏やかになったり荒れたりすると思っている人がいたのだろうか? 毎日毎日一瞬一瞬、自分が結婚するべきかとか、死んでしまうのだろうかとか、そういったことを考えていたということ? 読んでいて????となったのでメモしておいた。