今日はこれを読んだ。
学習心理学の研究者である著者が、知識とは、学びとは、そして良い学びとは何か、ということについて書いた本だ。
個人的には、まあまあ良い本だった。
学校で今まで勉強してきたし! という人や、自分には知識についての知識があると思っているので読まなくてもいいや〜と思っている人にも読んで欲しい、そんな本だ。
学校でやっている勉強だけが知識を獲得する手段ではないことや、よく言われる「自分の頭で考える」ためにはどんなことが必要なのか、それを育むためにはどうすればよいのか? について、著者なりの意見を表明している。
だから読者はきっと、この本に書かれていることを題材にして読者自身の頭で考えるようになるだろう。
ということで、ここからはこの本を読んで自分なりに考えたことを書く。
まず思ったのは、学校教育と「学び」の相性はもともと悪いのでは? ということ。
この本によると、学習の効果や最高到達点については外から学ばせようという働きかけをするのはあまり効果がなく、結局自分に学ぼうというモチベーションがあるかどうか、知識をアップデートし続ける根気とやる気があるかどうかというところに帰着するらしい。
しかし、6歳くらいから小学校に入って15歳くらいまで義務教育期間を過ごす……という現行のシステムは、学びたいという意思ではなく年齢という基準で区切られているから、そりゃあ学びたい意欲にばらつきがあって当然だ。まあ、この問題は親、子ども、教師が力を合わせれば解決できるかもしれない。
次に思ったのは、相対主義の次に評価主義というのがあるのはどうなの? ということ。
この本の中で紹介されているコンセプトの1つに、知識についての態度(専門用語的にはスキーマのことだと思ってもらえれば)というものがある。
その中で絶対主義とか相対主義、評価主義という言葉が出てくるのだが、これらはよーするに
絶対主義: 知識は自分の外にあり、不変のものである(という、知識の認知)
相対主義: さまざまな知識があり、その中でどれかを選ぶに足るものはない(同上)
評価主義: さまざまな知識はあるが、いくつかの基準を用いれば(評価すれば)選び取られる知識がある(同上)
ということだ。
で、著者は絶対主義→相対主義→評価主義という順番で進んでいく……と述べている。たしかに評価主義の考え方は大切だし、それを通して自分の意見を持てるようになるのは大きなメリットだから、知識を評価できる人になるのが良いと思う。
ただ、評価主義を実際に運用するのはすごく大変だ。知識を評価するための時間的コストはかなりの負担になるし、評価に使える基準は少なすぎる。
まとめてしまえば、この本で書かれてることって実行できないでしょ、という話だ。書かれている内容を自分の生活に取り込めたらきっと役にたつんだろうけど。