シャツとソックスの日記

@shatsutosokks の日記帳です。

2023年上半期版: 女性声優フルアルバム全部聞いたのでレビューする

私が女性声優アーティストが作る音楽シーンに魅せられて、もう10年以上が経ちます。

 

最近はフェスでワーキャー言われてそうだったり、アニメのOPじゃなくMステにでも出てろやって感じのバンドがアニソンを出すようになりました。それによって女性声優がアニソンを歌うことは減ったような気もします。

また、Vtuberやインターネット産の音楽が徐々にメインカルチャーへと顔を出そうとして、アニソンを歌うことも増えました(アニメはメインカルチャーなのか? というのはいったんここでは置いておいてください)。

 

こういったトレンドもある中で、私は言いたい。

今こそ「女性声優アルバムを聴け」と。

 

声をお仕事にしている人たちが、歌をまとめて何かを表現する。アニメに主演するように、これも1つの素晴らしい業績なのではないでしょうか。

だからアルバムだって、ただのファン向け集金盤ではないはずです(まあ、そういう側面は否定できないけれども……)。

 

ということで、みんなにも聞いてほしい。

 

この記事で取り上げたフルアルバムの定義

  • 2023年上半期(1月〜5月末)に発売されたものであること
  • 女性声優アーティストがメインであること
    • 声優ユニットのものやキャラソンは外した 
    • 例えば harmoe とか DIALOGUE+ とか。harmoe は素晴らしいアルバムを出したと思うから、ちょっと悲しい
  • 新曲が10曲以上収録されていること
    • シングルで既出の曲も、アルバムに入っていなければ新曲として考えた

書かれていないこと

 

ちなみに長いです(総文字数5000字オーバー)。発売日が古い順に上から下へ並べているので、気になるアルバムの話が読みたければ、目次で気になる名前をクリックしてください。

 

この中でどれがオススメなん? と聞かれたら早見沙織「白と花束」を、どれが好きなん? と聞かれたら伊藤美来「This one's for you」を挙げます。

 

鈴木みのり「fruitful spring」

コンスタントに曲を出しているイメージがあったから意外だけど、アルバムは5年ぶりなんだねえ。

正直、「見る前に飛べ」や「上ミノ」ほどのアルバムではないけれど(思い出補正があるかも)、地に足が着いた新しい鈴木みのりが見られるアルバムだ。

 

アルバムの中でオススメの曲は「 Shout!!! 」 鈴木みのり作詞曲を辿る会の会長なので。

ただアニメタイアップも含めると「Wherever」がめちゃくちゃ好き。

Shout!!!

Shout!!!

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Wherever

Wherever

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伊藤美来「This one's for you」

2023年上半期ベスト声優アルバムの座は、これに与えたい。それくらい好きだ。

特に、2023年上半期におけるベスト女性声優楽曲は 、このアルバムの1曲目「laid back」だ。というのが私の結論です。

laid back

laid back

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アルバムを通して、少し SHE IS SUMMER 的というか、あーいうタイプを想起させるというか。

「女の子のかわいさ」を打ち出しつつ、これまでの伊藤美来とは少し違う音楽をやっている。それ自体が、これまでの伊藤美来にとって大きな挑戦だと思う。しかし、それをアルバムを通してやり切っていると感じさせる、素晴らしいアルバムだった。

 

個人的にこういうタイプの曲が本当に好きだし、伊藤美来というアーティストへ個人的に思っていたことが一変させられた。そんなアルバムだ。

伊藤美来といえば七尾百合子でしょ、中野三玖でしょ、みたいなイメージを持っている人に聞いてほしすぎる。そういう人はたぶん「100年前に会いましょう」は気にいると思うし、それ以上に魅力的な伊藤美来にも出会えることでしょう。

 

中島由貴「サファイア

なんというか、元気なキャラクターをよくやっているイメージがあったけれど、今回のアルバムは少し年齢が高めというか、しっとりしている感じや落ち着いた感じを受けるような曲が多かったのが意外。

2枚目のアルバムだからこういう方針にしたのかな。

 

ああ、こういう感じでも売りたいんだなーというのはわかった。ただ……ぶっちゃけ個人的には刺さらなかった。

 

1曲オススメを出すなら「わたがしわたし」。しっとりかわいげがあると思います。 

わたがしわたし

わたがしわたし

  • 中島由貴
  • アニメ
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田村ゆかり「かくれんぼ」

製作陣GJって感じのアルバム。ゆかりんによく合う明るい感じの曲調が多く、本当にこれをサブスクで聞けないのがもったいない。

 

オススメは「くちびるプラトニック」。

「あー知ってる田村ゆかりだ」ってなる感じの曲だからひねりもなにもないんだけど、ゆかりんには永遠にこういう曲が似合う……というより、似合っていてほしい。いつかそうじゃなくなる日が来るとしても。

そういう感じの曲だ。

あと「Sunny Spot」は個人的にかなり好み。

 

しかしそれにしても、このアルバム、サブスクで配信がないのが……

2016年にいろいろあって以降の作品がサブスクだと聞けないっぽいので、まあある程度しょうがないにしても……まじか。

こんな記事を書く以上、根性じゃあと思ってCD買ってきたけど、いったいどれくらいの人が買ったんだろう。

 

青山吉能「La Viligia」

なんか時代が青山吉能を推し始めてて怖い。

 

私は青山吉能のことをセンスのバケモノというか、声優界の中でも勘が良すぎるタイプの人だと思っている。

言ってしまえば、使われる側であって使う側ではないというか。言葉より先に体が動いているというか。そういう全力の野生味(?)が青山吉能の魅力なんだろうなーというのがよくわかるアルバムになっていた。

 

オススメはシングルカットもされている「あやめ色の夏に」。また、夏が来ますので。

あやめ色の夏に

あやめ色の夏に

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しかしまあ、3月8日にファーストアルバムを出すという、それだけですごいメッセージ性がありますよね。WUGのこととか考えると。私より WUG にも青山吉能にも詳しい人なんて掃いて捨てるほどいるだろうからそういう話はしたくないけど、どうしても気になった。

 

大西亜玖璃「Do you agree?」

1stアルバム。

改めて見ると「Elder Flower」「ジェリーフィッシュな君へ」「はじまるウェルカム」と、収録曲にかなりアニメタイアップが多い。推されてるなあ……

 

たぶんこれから幅を広げていくところなのだと思うけど、なんとなく「大西亜玖璃」と言われて想像できる感じの曲が多かった。それはそれでいいんだけど、これからアーティストっぽくなっていくのかどうかが気になるなー。かわいげ一本槍で生きていくのか、幅を身につけていくのか、フェードアウトするのかというか。

 

私のオススメは「NTMU エイリアン」

他の収録曲と比べてみると、これはかなりテイストが異なる曲だ。エレクトリックで、聴いているこっちの身体が思わず動くような感じ。

なんとなくアイドルっぽい印象があった中でこれを聴いたから、とってもびっくりしてしまった。ぜひ聴いてみてほしい。

NTMUエイリアン

NTMUエイリアン

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早見沙織「白と花束」

この期間で最もおすすめしたいのはこれ。

 

早見沙織の歌は……声優界で1番上手い、聞かせる歌声だと思う。

そしてこのアルバムでは、早見さんの歌声という素材の幅を最大限に引き出している。花束といっても99本のバラの花を束ねたというより、ジャケット画のようにいろいろな花を抱えた花束という感じ。

参加したコンポーザーもいよわ、Tomggg、竜人のようにさまざまで、その中で早見さんがうまく引き出されているし、早見さんの歌になっている。

 

個人的に早見さんの曲は歌詞の中で「私とあなた」になることが多いのが好みなんですよね。考える余地ができるし、自分を没入させることもできるし、突き放すこともできる。そういうことを許してくれる曲ってなかなかない……気がする。

 

私のオススメは「エメラルド」だけど、正直言ってこのアルバムは通しで聴いてほしい。

それでこそ、このアルバムと早見沙織の持つ「幅」の広さに驚くことができるので。

 

エメラルド

エメラルド

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楠木ともり「Presence」

楠木ともり「Absence」

私は楠木ともりについても浅い知識というか、このアルバムを聴くまでぶっちゃけ「ハミダシモノ」と「Forced Shutdown」しか聴いたことがなかったんだけど、それでもこのアルバムを聞けば才能に溢れた人なんだなというのがわかる。

役者としての才能というか、「何でもできる」才能というか。誰かのことを見ているからこういうことができるのかなあ。まあ、どういう感情で見ているのかは見ているのかはわかんないんだけど。少し「自分を見て」という気持ちとそれが叶わなかったときの気持ちも感じさせられるというか(とくに「Absence」はそんな気持ちになった瞬間が多かった)

 

そういう微妙な違いはあるけれど、アルバム自体はどっちもそんなにノリが変わるわけではない。だから適当に気になった方から聞いても良いと思うし、私もこうしてまとめて記述している。

 

オススメは「Absence」収録曲だと「Strange X」。ちょっと狂ってる感じが好み。アルバムの名前を冠した「Absence」もかなり「不在」をストレートに表現してくれている良い曲だった。

StrangeX

StrangeX

  • 楠木 ともり
  • アニメ
  • ¥255
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「Presence」収録曲だと「もうひとくち」が圧倒的にオススメ。

アルバムの新曲ではないけれど、圧倒的に歌詞がいい。

ドーナツっていうメタファーと、その穴を埋めてくれる誰かがいるというシーンにキュンとする。こういう関係が本当に好きだ。

もうひとくち

もうひとくち

  • 楠木 ともり
  • アニメ
  • ¥255
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しかし、2枚同時リリースってすごいことやってるなあ……

 

坂本真綾「記憶の図書館」

5/31 に発売されたばかりの新アルバム。坂本真綾さんのフルアルバムもだいぶ久しぶりだ。

 

「記憶」をテーマにしてゆるくまとまったアルバム、らしい。私は感受性が低いのであんまりよくわかんなかったけど。

坂本真綾さんくらいアルバムを出してくると、なかなかもうやってないこともなくなってくると思うし、実際このアルバムも全部が全部目新しい、というほどではないけれど、それでも新しいことをやろうとしているだなあというのは随所で感じられるアルバムになっている。

 

個人的オススメは「一度きりでいい」。多分このアルバムで1番目を引くというか、「おっ」と引っかかるような、いい釣り針がついた曲だ。

一度きりでいい

一度きりでいい

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でも個人的には「空中庭園」も好き。

空中庭園」はなんか、私の知っている坂本真綾って感じだった。「マメシバ」を思い出したというか。2つを聞き直してみると全然似てないんだけど……まあ、私の頭がおかしくなってたんだと思う。 

空中庭園

空中庭園

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マメシバ

マメシバ

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くぅ〜疲れましたw

 

今回は書ききれなかったミニアルバムとかベストアルバム、具体的には、渕上舞「MAI CREATE」, 諏訪ななか「Starry Garden」, 三森すずこRPG」あたりについてもいつか語りたいなあ。

渕上舞「MAI CREATE」では Giga, 40mP といった有名なコンポーザーを呼んで楽曲を作るという、それ自身をリード文にも書いた点が個人的には珍しかった。どういうアルバムなのかを説明するときに、作曲家の名前を書くことを選んだのかーとか、みもりんの曲でこれが好きだ! とか、言いたいことはいろいろあるんだよね。