3連休前に読み終わった。
どんな本?
世界最大手の投資銀行であるゴールドマン・サックスで ESG 投資という分野の営業部長としてキャリアを構築してきた筆者が、「より良い社会」を次世代に残すために必要だと考えていることを開示してくれる本。
特に日本においては、資本主義のために必要な自由競争(= 是々非々で判断すること)が足りておらず、自由競争のために必要な情報開示および資本家と経営者の間に信頼関係と緊張関係を構築することが必要であり、それこそが「企業価値向上」という資本家と経営者の共通目標に役立つことなのだ、というのが語られている。
おもしろい? つまらない?
個人的には、つまんなかった。
どうしても株主←→経営者という関係性に対する話が多く、1消費者であり労働者であるわたしとしては、ノリづらかったというのが正直なところ。
猛烈にプッシュされていた ESG 投資に対してもノレなかった。パッシブ投資にパフォーマンスでは勝てないアクティブファンドによる新たな差別化手法の一つであり、言い換えれば低価値な商品の売り文句なんだなあと受け取った。
お金の最も効率的な増やし方は(同じ前提に基づく限り)一意なはずであり、その方法はESG投資(を含むアクティブ投資)でなくパッシブ投資であることは明らかなので、この本を読んで「うお〜〜 ESG商品買うぞ! 社会のために!」とはならなかったかな。
逆に「お金より大事なものに気づきたい」と思っている読者に対してはいい本になるはずなので、ぜひ読むことを勧めたい。あと投資をやっていない人にも向いてるかも?
印象に残ったシーン
この本の中で、コーポレートガバナンスについて「他社さんはどうされてるんですか?」じゃなくて、大事なのは御社にとって何が大切かってことですよ」という趣旨の記述があったんだけど(p181 あたり)。ここは良かった。ここだけは全読者に刺さってほしいなと思う。
正統性を持たない私たちが頼れるものって先例しかないんだけど、アナロジーって全部嘘なんですよね。楽だけど
うんちく
著者の清水さん、LinkedIn を見た限りだと現在はみずほ証券で「サステナビリティ・エヴァンジェリスト」をされてるらしい。
証券会社とはいえ、この本で変えるべき対象として書かれている日本企業の、その象徴みたいな企業に入っているわけで。どんなことを感じているんだろう。
ぜひみずほを退職した時は退職エントリか、あるいは本を書いてほしいなあ。