今日はKindle Unlimitedに入っていた「流言のメディア史」を読んだ。
デマにまつわる歴史研究を紹介し、そこから現代に得られるレッスンは何か、という内容の本だ。
例えば、オーソン・ウェルズ脚本・演出のラジオドラマ「宇宙戦争」によって、アメリカでは火星人が攻めてきた!というパニックが引き起こされた、という「火星人来襲パニック」は有名だが、本当にそのような事象はあったのか? もし後からそういう意味づけがされたのだとすれば、それはなぜか? というような感じで、事件やそれにまつわるデマについて検証することを通し、フェイクニュースの世、と言われる現代でどのようにメディアと関わっていくか考えよう、みたいな。
こういうテーマで読んだことある本は記憶の限り故Hagex氏の新書だけだったのでこの本を読むまで知らなかったポイントが多く、非常に面白かった。
新聞やラジオといった、いわゆる「マス・コミュニケーション」媒体が発達してからというもの、いやもっと前から、この世にフェイクニュースはあったし、歴史的な事実に対して後から意味が付与されることもあったのだなあ。
事実について著者が検証したりしているところもとても面白かったのだが、個人的に紹介したいのは「第6章「記憶紙の誤報 ー「歴史のメディア化」に抗して」」の中で、「新聞の「嘘」」という本を紹介していたところだ。
その本は1932年に出ているのだが、その頃の新聞に載ったデマ記事について、当時の大阪朝日新聞の記者だった内海丁三という人が分析している(ようだ。国会図書館には入っているようなので読みに行ってみようかな)。
この中で提示されていたデマ記事の分類については、(ちゃんと原本にはあたりたいなあと思っているが)かなり現代でも通用する分類のしかただと思う。釣られたくない人はここだけでもぜひ読むべき!と言いたくなるポイントだ。
各章で1つのまとまりになっていて読みやすいなあと思っていたのだが、もともとは連載記事として書かれたものを新書用に書き直したとあとがきで書いてあって納得した。他のところでどんなことを書いているのか気になるな〜