今日はこの本を読んだ。
順番は逆だけど、この本を読んだんだよねー
本当はあんまり読むつもりはなかったんだけど、「みずほ銀行システム統合 苦闘の19年史」を出したことが、「ポストモーテム みずほ銀行システム障害事後検証報告(以下、「ポストモーテム本」と呼ぶ)」の執筆動機の1つになったって書いてあったので、気になってしまった。
みずほ銀行が起こしてきた、2002年や2011年の大規模障害を振り返り、新しく開発した(そして2021年に大規模障害を起こしてしまった)新しい勘定系システムの特徴などを解説した本だ。
読んでみて、大きなものを作ったとて組織が変わらなければ意味がないんだなあ……としみじみ思った。まあ、後知恵なんだけど。
まあ、正直「ポストモーテム」本を読んでいたら読む必要はない本ではある。けっこう重複した記述も多いし。
でも、ITにちょっとでも関わりのある社会人なら、この本か「ポストモーテム」本のどっちかは読んでみてほしい(どっちでもいいや! となったら「ポストモーテム」本がおすすめ)。絶対、胃が痛くなったり「あるある」とうなづいたりするポイントがあるはずだ。
印象に残った部分を何個か引用しておく。
“銀行業は、突き詰めればリスク管理業である。融資の審査に代表されるように、リスクを一定の範囲内に抑えられるかどうかが、経営の成否を左右する。 にもかかわらず、みずほはなぜか情報システムについては、リスクをコントロールできない。システム障害のダメージを想定できず、危険を察知する持ち前の嗅覚も鈍る。”
— みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」 by 日経コンピュータ, 山端 宏実, et al.
https://a.co/4hrlxj1
↑は2021年よりも前に起こした大規模なシステム障害を語るところだけど、少なくとも2021年まではこんな感じなんだろうな。
“ 「ソフトは稼働した瞬間から陳腐化する」。日立製作所で数々のシステム開発プロジェクトを率いた塩塚啓一副社長の持論だ。みずほはここで一息入れず、それこそ次のシステム再構築に向けた準備に入るぐらいの気構えを持ちたい。「しばらくは今のシステムで大丈夫だろう」と気を緩めるのは禁物。当初の設計思想を知る人が去り、度重なる変更によってプログラムが複雑になっていく「結末」の悲惨さを、みずほは誰よりもよく知るはずだ。”
— みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」 by 日経コンピュータ, 山端 宏実, et al.
↑もう少しよく知る必要があったみたいだね!
それにしても、銀行くらい大きな組織だと、組織風土を変えるってめちゃくちゃ難しいんだけど、今はどうなってるんだろう?
Amazon レビューを見ていたら、みずほがその後も大規模障害を起こしたことを理由にこの本へ低評価をつけていた人がいて、思わず笑ってしまった。この本と障害にはなんの関係もないのに……