今日はプーシキンの、「大尉の娘」を読んだ。
ネタバレなし。
舞台はエカテリーナ2世時代の帝政ロシア。主人公のピョートルは、いろいろあってロシアの辺境の要塞に着任する。
ピョートルは、そこの要塞司令官の娘であるマリアと惹かれ合っていく。
しかし、プガチョフの乱という大きな歴史的イベントが、2人を近づけたり遠ざけたりする……みたいな話だ(雑)。
お話の量自体は結構短いので、ちょっと長風呂するか、くらいの気持ちで読み切れると思う。
読んでみての感想としては……思っていたのとは違った! でも面白い。
個人的には、私にとって "ロシアっぽい" 感じの、暗い話なのかと思っていた。でもそんなことは全然なかった(ちょっとがっかりは……していない)。
いや、だって、貴族の息子(主人公)が、赴任先(ロシアのド田舎、娯楽などなし)で若い女(かわいい)に出会って、どうなる? って考えたら……ねえ? なんかこう、「邪」な感じがするじゃない。
これくらいはネタバレにならんと信じて書くが、まあそんな心配は杞憂で、この話はどこまでも明るいというか、ポジティブというか、"陽"な話だ。
私はプーシキンの作品を初めて読んだけれど、こういう明るさが、プーシキンをロシアの国民的作家にしているのかなあ……というのはとても感じた。
あと個人的には、プガチョフのキャラクターが印象に残った。
好意的に描かれているとまでは言いたくないけれど、帝政時代に皇帝に対して反旗を翻した人間を描くにしては、だいぶ人間味がある存在として書かれていると思う。「内に優しく、外に厳しい」ところとか、ヤクザの親分っぽい。まあ、古今東西の盗賊の親玉は、だいたいヤクザの親分気質なところがあるが……
他にも、「拷問」「農奴」みたいな当時の帝政ロシアが持っていたであろう問題への(プーシキンの?)意見表明のような箇所もあり、そこも面白かった。
特に拷問のところは、今の日本人が読んでも「たしかに」「いやいや」と思わず自分の意見を作ってしまうような、そんな率直な文もある。
最も確実な変革とは、習俗の改良から生じるものだ。暴力による変動なんて一切いらない