今日はこの本を読んだ。もうそろそろこの本が出てから10年経つけど、ここで指摘された問題点は変わっていない気がする……
シングルマザーという生き方を深掘りする本だ。どうしてシングルマザーになったのか、どういう状況に置かれているのか、といった疑問を通して、日本社会が抱えた矛盾や課題を指摘していた。
ま〜〜面白かった。「シングルマザー」という状況は同じでも、こんなにいろいろな理由やあり方があったのかと。なかなか自分では調べづらいポイントだから、著者が聞き取り取材をしたいろいろなシングルマザーの話がケーススタディとして読めるのは、本当に勉強になった。
また、指摘されていた矛盾や課題は、2023年現在でもまだまだ大筋では改善されていないものが多いと思う。その意味で、現在のことを考える上でも参考になる本だと感じた。この本は「こうしたらいいんじゃない?」という、解決策まで語っているので。
今でも母子家庭の収入は低いままだし、なんだかんだ結婚や家族に対する規範意識は強固だ。結婚=出産のように周囲から期待されるのも変わっていないのではないだろうか。
もちろん、保育のアクセス向上や児童扶養手当の増額および所得制限の緩和、母親の正社員就業率の上昇のようなポジティブな要素はあるのだが……結局、家族に対する価値観が変わってこない限り、根本的な解決にはつながらない。
しかし、そういった価値観を変えるのは、本当に難しい。特に現在のような、個人が自身の価値観しか拠って立つものがない時代で、それを切り替えろ、というのは、本当に本当に難しい。価値観を変えるくらいなら現実を捻じ曲げることを選ぶ人の方が、ずっと多い。
正直、私にも価値観を変えることの想像はつかない。どうしたら人の価値観が変わるのか? がわからない。価値観がどうでもよくなるくらい稼げるとか、社会の構造が変化せざるをえないような出来事を想像することしかできない。つくづく自分は無知だなあと思う。
ある種保守的な家族規範と、そこからこぼれ落ちた人への支援という、矛盾するような事態の調和をどうとっていけばいいんだろう。難しい。
参考にしたとこ