シャツとソックスの日記

@shatsutosokks の日記帳です。

「国際紛争を読み解く五つの視座」を読んだ

今日はこの本を読んだ。めちゃくちゃ面白かった。かなりおすすめ。

 

国際社会で起こっている紛争(紛争とは何か、というのもこの本では定義が紹介されている)について、その構造的な背景を探る本だ。何個か例を挙げるなら、勢力均衡や地政学といった理論を用いて、世界各地で発生している紛争の背景を解説している。

 

構造的、という言葉が何を指しているのかは本書の中ではあまり明らかではないけれど、おそらくは「各紛争のアクター(≒当事者)それぞれが持つ個別の事情ではなく、もう1段抽象的なレベルで存在する社会的関係」のことなのかなあと理解した。

 

例えば中国がアメリカと太平洋における覇権をめぐって対立しているなかで「なぜ中国は太平洋に進出しようとするのか(中国という国家の中でどういう意思があってそういう決定がなされているのか)」という分析をするのではなく、「(超)大国として台頭してきた国家が、それまで地域に存在していたバランスを崩そうとするのはなぜか」というようなレベルに抽象化した上で分析する、みたいな感じ。

 

他にも、構造というレベルでものごとをみると、ずっと永続しているかのような現行の国際秩序も実はここ80年から110年程度の歴史しか持っていないなど、言われてみれば(言われるまで気づかなかった)というような指摘が本の中には結構あった。

 

この本では国際紛争における理論ばかりが紹介されていたけれど、構造的な分析のために理論を自分の道具箱の中に入れておくことは、何も国際紛争を理解する時だけ便利なわけではない。

もっといろいろな場面で役にたつことのはずだ。もっといろいろ勉強しよーっと