昨日はずっと積んでいたこの本を読んだ。
暴力団関連のネタを専門にしたライターである鈴木智彦さんが、福島第一原発の事故時に作業員として原発に入ったルポの本。ルポに加えて、ヤクザが原発という利権にどうやって食い込んできたのか、という話も展開される。
とても面白かった。
やっと読む時間がとれたんだけど(電車に乗り続ける日があったので)、もう少し早く読んでおくべきだった。
原発事故の後の不安な状況の中で、事故を起こした後処理の真っ最中である福島に取材をしにいく。こんな体験そのものが価値になっている。
この本は全体感のある話がまっすぐな背筋を作っているというより、1シーン1シーンの寄せ集めでできているような印象を受ける。そのときどきで鈴木さんと対面していた人たちの顔が見えるようというか。
ただ、原発事故のようにみんながみんな混乱した状況の中だと、そういう語りかたのほうが向いているかもしれない。私も当時持っていた、なんとなくぼんやりとした不安を思い出すような感じがした。
いまはどうなってるんだろう。私の周りの人はもう、ほとんど忘れているような気もするけれど。