今日はこの本を読んだ。
ざっくりまとめると、脳科学で研究されていることを通して、我々人類の道徳や感情と自然科学を接続させようとした本だ。
ある感情を持つような場面で、脳のどの部位が活発に活動しているのか。あるアンケートに、こういう傾向で回答する人は、脳のどの部位が大きい(小さい)のか。
そういった研究の紹介を通して、「心を測る」ということの新たな一面を提示しようとしていた。
で、この本がおもしろかったか、つまらなかったかでいうと……おもしろかった。
本のページ数が薄いのは不満だけど、この本でやろうとしていることはすごく価値があることだと思う。まじめに心について考えたいと思っている人には、ぜひ一度読んでみてほしい本だ。
脳のいろんな部分と、それら部分が果たしていると考えられている機能について知ることを避けてはいけない。そこを避けて心理学を学ぶのは、飛車角落ちくらいあると思う(物理学を避けて哲学を学ぶよりよっぽどいろんなものが落ちているのでは?)。
もちろん脳科学は脳科学で、完全ではない。わかっていないことはたくさんあるし、トンデモな「発見」が商売に使われがちな分野でもある。
そういう分野でもあるから、どれくらい脳科学のことを信用していいんだろう……? と思うこともあるのだけど、やっぱこの本に書いてあるようなことは知っておいてほしい。
というふうに書いたことからわかるように、私はこの本を倫理学の本というより、心理学の本だと思って読んだ。そしてそれが正しい読み方だと思っている。
ちなみに、この本で紹介されていた Moral Foundations Questionnaires は↓からもアクセスできる。モラル(道徳)の基礎になる5つの要素をスコアリングしてみよう、という質問紙だ。
今回紹介した本の筆者による日本語版もあるけど、心理学の質問紙にしては少し直訳すぎるというか、ローカライズとしてこれでいいの? とは思わなくもない。
おまけ1
↑のアンケート、私も回答してみた。スコアが高いほど、それを大切にしている、ということになるようだ。
私のスコアは、
- 傷つけないこと: 15
- 公平性: 17
- 内集団への忠誠: 18
- 権威に対する敬意: 13
- 神聖さ・純粋さ: 9
って感じ。どれも全体的に低めだ。
いつか自分がまた回答することがあったら、それがどんなふうに変わるか確かめてみようかな。