今日は土用の丑の日。ということで、この本を読んでみた。
先に言っておくと、この本は読むべきだ。Kindle Unlimited で読むのでもいいし、図書館で読むのでもいいし、買って読むのでもいい。なんでもいいが、とにかく読んでほしい。
著者がうなぎについての疑問に答えることを通して、消費者である我々に「うなぎをこのまま食べていていいのか」を考えてほしい、という感じの本だ。
この本、めちゃくちゃ面白かった。
本の中で著者も言っているように、うなぎの話でデータに基づいたものってほとんどなかったのではなかろうか。
2019年までの情報しか反映していないという点や、著者のポジションに関して少し気になる点はあるものの、今まで知らなかったうなぎの話がてんこもりだった。
特に衝撃的だったのは、密猟や密輸されたものではないクリーンなうなぎを消費者が選択することは、現状ほぼできない、というところ。
例えばスーパーで並んでいるうなぎの蒲焼の中で、どこで獲られたうなぎなのか、がはっきりするものはかなり限られている、ということだ。
そういったあいまいさにつけこんで、本来許可されていない業者がうなぎをとったり、本来許可されている業者であっても横流ししてしまうなどの犯罪が、現に起きている。
うなぎの稚魚は高値で取引されることや密漁の際の罰則もかなりゆるいこともあいまって(この罰則は今年の12月から重くなる)、この犯罪を防ぐこともなかなかできていない、というのが2019年当時の状況だったし、2023年現在も大きくは変わっていないようだ。
他にも、うなぎを放流することは本当にうなぎの数を増やすことにつながるのか? といった疑問や、完全養殖のうなぎがあればニホンウナギの絶滅は防げるのか? といった疑問にも著者の回答があり、そこも興味深かった。
放流に魚の数を増やすエビデンスはない、というのにはびっくり。そこを調査せずに今までやってたのかよ、という意味で。
さて、ここまでが本を読んでの感想だ。ここからは、私なりに考えたことを書いておく。
上でもちらっと触れたように、本を書かれてから現在までの間に、ニホンウナギに関する規制などは進展しつつある。
例えば、密漁の罰則はこれまでの上限10万円から、2023年の12月には上限3000万円まで引き上げられる。
加えて、2025年の12月からうなぎの稚魚を獲れる業者は届出制になり、稚魚の取引記録を残しておくことが義務付けられる。これらの義務に違反した場合の罰則も、3000万円以下の罰金もしくは3年以下の懲役に設定されている。
うなぎの状況が手遅れになる前に、これらの政策が効果を発揮するといいな……と思うばかりだ。
そして最後に、この本を読んで、著者が言うように「うなぎをこのまま食べていていいのか」を考えた。答えはすぐに出た。
私が今後。うなぎを食べることはない。
私の良心に照らして、これはないでしょう、ということだ。店員が客をレイプしたペッパーランチで二度と飯を食べる趣味がないのと同じで、完全に個人の気持ちの上ではあるが、こんなもん食べたくない。
もちろん、これは完全に個人的な考えで、みんなもそうするべきだと言っているわけではない。
ただ、みんなにもこの問題を考えてくれたら嬉しい、とは思う。
参考にした資料
Seafood Legacy Times » Blog Archive 英国ウナギ事情。日本の外からウナギの問題を見つめ直す(前編) - Seafood Legacy Times