(フィクションです)
これはあるクラブからスーパーリーグ運営委員会に提出された書簡である。
「
スーパーリーグ運営委員会の皆様
2026年に誕生したスーパーリーグは、現在(そしてこれからも)16チームが所属している世界最高のフットボールリーグである。
スーパーリーグの提唱者であるレアル・マドリード、FCバルセロナ(実はFCバルセロナはスーパーリーグ発足後にクラブを運営する法人が破産したが、後継として設立された法人が運営を引き継ぐことで特に変わりなく運営が続けられている)、ユベントスといった面々に加え、世界中のビッグクラブが毎週末しのぎを削っている。
スーパーリーグの試合は世界中に放映され、スーパーリーグに参加しているクラブのファンは毎週末ビッグマッチを観戦できる。グローバルでメジャーなスーパーリーグと、ドメスティックでマイナーな国内リーグ。この棲み分けもだいぶ受け入れられてきたといってよい。
スーパーリーグのビジネスは概ね成長を続けており、スーパーリーグ所属のサッカークラブはこの時期までに、概ね年間1500万ユーロ〜2000万ユーロほどの売り上げを出すようになっている。これまでのUEFAに牛耳られた体制ではありえなかった額であり、スーパーリーグの輝かしい成果として誇るべきものである。
しかし、グローバル化が進むにつれ、相対的に存在感が薄まってきたのが地元のサポーター集団だ。彼らは我々が「マドリードの」「バルセロナの」「トリノの」クラブであると言う時に欠かせない存在ではあるが、それと同時にクラブは自分たちのものであるなどと馬鹿なこともスタジアムで発信する、厄介な存在でもある。
我々はこの問題を解決するべく、1つの提案を行いたい。
それはスーパーリーグの開催権を販売することだ。
これにより、ヨーロッパでの試合数を減らしつつ、アメリカ・アジア・アフリカといった地域でのプレゼンスをさらに高める効果が期待できる。さらに厄介なサポーター集団とは距離を置きつつ、収益の手段を確保できるわけで、いいことづくめの提案であると自負している。
やっていることはW杯の開催地決定とほぼ同じである。違う点は金の動きを帳簿に載せるか載せないかでしかない。
我々はフットボールをよりグローバルなものにするべきだと信じている。それこそが選ぶべき成長の道である。
」