今日はこの本の7章を読んだ。
テーマは「デジタル戦略とIT戦略」。DX (デジタルトランスフォーメーション)の戦略を立て、それを実現していく、というケースをもとに、戦略とそれを実現していくことについての知識をさらっていく。
この章の内容はだいたい3つ。
- DX とは何か
- 企業の戦略と、その確認観点として使える2つのモデルについての紹介
- ITIL4 の「継続的改善モデル」の紹介
まず、DX とは何か。ぶっちゃけいろんな定義があるが、ITIL4 における定義は下記のとおり。
“DX(デジタル・トランスフォーメーション)
デジタル以外の手段によっては実現できない可能性がある組織の目標を実現するうえで、大きな改善を可能にするデジタル技術を利用すること。”
— ITIL 4の教本 ベストプラクティスで学ぶサービスマネジメントの教科書 by 最上 千佳子
https://a.co/4oZMJaT
「大きな改善」を実現するために、これまでのやり方やそのやり方を支えていた考え方をデジタル技術の力で変更することが求められる。
そのような変更を実現するためには、細かい変更を積み重ねていくやり方が望ましい。
また、単純にデジタル化するのではなく、考え方も含めた変更まで行ってこそDXである。例えば、アナログの帳票を使っている会社で、帳票をそのままエクセルに移しました! というのではDXをやったことにならない。この例えでいえば、帳票をやめてSalesforce を使います! とか、そういう感じなんだと思う(Salesforce使ったことないけど)
次の話。
企業の戦略と、その確認観点として使える2つのモデルについての紹介
企業がDXを実現するにあたって、「このようにDXをやっていきます!」という方針をまとめたものを、戦略と呼ぶ。
この戦略には3種類ある、と本書では紹介されている。下記の3つだ。
- 事業戦略
- IT戦略
- デジタル戦略
これらの戦略がどのように関係するのかについては、いろいろ考えられる。例えば本書では、IT戦略が事業戦略と切り分けられ、IT戦略が事業戦略を支えるという関係性が紹介されている。他にも、ビジネスのITへの依存度によっては、IT戦略がデジタル戦略と一体になって事業戦略のコアになっているパターンも考えられる。
で、この戦略を決める時に使えるのが「ビジネスモデル」と「オペレーティングモデル」の2つ。
前者が顧客へ価値を提供して収益を上げるための仕組みを、後者が価値の提供のやり方や組織運営のやりかたを指す。
“ビジネスモデル
戦略に基づいて顧客に価値を提供するために、組織がどのように構成されるべきかについての正式な説明。”
— ITIL 4の教本 ベストプラクティスで学ぶサービスマネジメントの教科書 by 最上 千佳子
https://a.co/4hiAovk
“オペレーティングモデル
組織が顧客やその他の利害関係者とどのように価値を共創するか、および組織がどのように運営されているかを概念的および/または視覚的に表現するもの。”
— ITIL 4の教本 ベストプラクティスで学ぶサービスマネジメントの教科書 by 最上 千佳子
https://a.co/9WkShYC
DXを実現していくためには、上記2つのモデルを別々に考えるのではなく、これらが連携していくことが必要だ。
最後。
ITIL4 の「継続的改善モデル」の紹介
ITIL4には「継続的改善」という考え方がある(第2章、第6章にもこの用語が登場している)。サービスは作って終わりなのではなく、顧客が求めるものに合わせて常に改善していく必要がある、ということ。
その継続的改善を実現するために、ITIL4 では7つのステップが提唱されている。具体的には下記のとおり。(……これってステップなんですかね)
“ステップ 1:ビジョンは何か?
ステップ 2:我々はどこにいるのか?
ステップ 3:我々はどこを目指すのか?
ステップ 4:どのようにして目的を達成するのか?
ステップ 5:行動を起こす
ステップ 6:我々は達成したのか?
ステップ 7:どのようにして推進力を維持するのか?”
— ITIL 4の教本 ベストプラクティスで学ぶサービスマネジメントの教科書 by 最上 千佳子
https://a.co/0NhV6mi
- ステップ 1:ビジョンは何か?
- ビジョンを定義し、ビジネスが目指す姿や実現させたい世界を定める
- もちろんこのビジョンは不変のものではなく、現状に合わせて適切に変更することが求められる(個人的にはそれでいいのか? と思う)
- ステップ 2:我々はどこにいるのか?
- ビジョンを実現する出発点として、ビジネスが置かれている現状を把握する
- この時に使われる手法はいろいろある(例えばSWOT分析とか)
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ステップ 3:我々はどこを目指すのか?
- 短期的な目標となるものを定める
- 様々な利害関係者を巻き込みながら、合意を形成していく
- 成果物としては戦略文書になる
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ステップ 4:どのようにして目的を達成するのか?
- 戦略はどのように実現されるのか、その施策を定める
- 成果物になるのはビジネスケース
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“ビジネスケース
組織リソースの支出(投資)を正当化するために、その支出についてのコスト、利益、オプション、リスク、および問題に関する情報をまとめたもの。”
— ITIL 4の教本 ベストプラクティスで学ぶサービスマネジメントの教科書 by 最上 千佳子
https://a.co/fyHnMAj
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ステップ 5:行動を起こす
- 計画を行動に移し、組織を変えていく
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ステップ 6:我々は達成したのか?
- 行動がどういう結果を生んでいるのか、モニタリングする
- いわゆるKPIやOKRが用いられるのはここ
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ステップ 7:どのようにして推進力を維持するのか?
- 改善することをやめないために、組織に継続的改善の文化を注入していく
最後の方が箇条書きなのは疲れたからです
あとこの本で残っているのは最終章だけ。長かった〜