この本もそうなのだが、いわゆる古典的な「日本人論」の本を読んでみるたびに、「日本人らしさ」が意外と私の中に流れ込んでいることに気づく。「学問のすすめ」を読んだ時にも思ったような。日記にはそんなことが書いてないから嘘かもしれないけど。
2022/11/29「「学問のすすめ」を読んだ&時間を効率的に使うコツ」 - シャツとソックスの日記
例えば、不完全の中に美や物の本質を見出したり、その延長としての自然を尊ぶ気持ちであったりを指摘するところがあった。ここは現代を生きている私の考えともあまり違いがないし、古臭さを感じない。こういう考え方が脈々と受け継がれていることの証拠なのではないか……と思う。
あと、「現代のものに美を見出すのが1番難しい。古いものはすでに評価が定まっていて、自分でそれに対する評価を考える必要が少ないから。耳で評判を聞いてから見ている奴ばっか」みたいなことが本文中にあったけど、2020年代になっても同じような人間がいっぱいいるのはちょっと面白かった。
もっと現代のいいものに目を向けようよ! という主張は、岡倉天心個人の行動にも表れている……のかな? なんとなく、横山大観みたいな後進を育てたり、日本の美術に美を見出したりしていた人というイメージがあるけれど。本当にそういう人なのかどうかは知らない。
正直、読む前に思っていたより面白かった。
わざわざ買いはしないが、青空文庫にも入っているのでそっちで読み直すかも。